更新日: 2018年9月16日

司法書士が開業する場合、まずは個人事業主として開業することが多いでしょう。
そこで開業するために何を準備しなければならないのか?をまとめます。
身近に開業している人がいないという場合でも、このページを見れば流れを把握できますので参考にして下さい。

開業するために最低限必要なものは3つだけ

司法書士として開業するぞ!と思っても「何から手を付けたら良いか分からない」という方は多いでしょう。

そこで最低限必要な開業までの流れをご覧ください。

  • 司法書士登録
  • 開業届
  • 青色申告承認申請書

この3つだけで開業できます。

司法書士登録をする

司法書士登録

司法書士登録をしなければ司法書士として開業できないのは皆様もご存じかと思います。
司法書士登録の手順は情報量も多くこのページを見ている司法書士(資格者)の方も情報は入ってくると思いますし、今回のメインとは少し逸れますので割愛致しますが登録がまだの方は必ず登録をしましょう。

開業届、青色申告

開業するために

実は個人事業主としての開業は驚くほど簡単です。
ものの5分で手続きは終了するほどです。
しかし、これから開業する方にとってはここが一番手が出しづらいポイントかと思いますので、開業届と青色申告申請書についての流れまとめましょう。

税務署に「開業届」を提出する

開業届はそもそもどこで手に入れるのか?
それは税務署です。

しかしわざわざ税務署に足を運ぶ必要はありません。
国税庁のホームページから開業届をダウンロードすることができます。

個人事業の開業届出・廃業届出等手続https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/04.htm

PDFを直接ご覧になりたい方は以下のリンクを開いてください。
なお、書き方のPDFも用意されています。

この開業届は開業後1か月以内に納税地を所轄する税務署長(事務所・事業所を移転する場合で、その移転前の事務所・事業所の所在地を納税地としていたときには、その移転前の事務所・事業所の所在地を所轄する税務署長)に提出します。

税務署の場所を知りたい場合は国税庁のこちらのページから検索できます。
税務署の所在地などを知りたい方
https://www.nta.go.jp/about/organization/access/map.htm

税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出する

青色申告承認申請書も開業届と同じく税務署へ提出しますので、両方を書き上げて同時に提出しに行くのが一般的でしょう。
また、白色と青色があることはご存知かもしれませんが補足的に話しておくと白色は10万円控除、青色は65万円控除と青色のほうが控除額が高いため「青色」申告承認申請書にしましょう。
青色の場合、白色と比べて経理面の手間は増えますが65万円にするメリットのほうが大きいです。

青色申告承認申請書も国税庁のホームページからダウンロードすることができます。

青色申告制度
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

青色申告承認申請書のPDFはこちらからです。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/pdf/h28/10.pdf
開業届と同じく書き方は上記のPDFファイルに同封されています。

青色申告承認申請書の詳しい書き方はこちらのサイトが分かりやすく書かれています。
外部リンク:https://biz-owner.net/ao/shinseisyo

青色専従者給与に関する届出書

補足的なものとなりますが、補助者として家族と一緒に事業を行う場合、家族に対して支払った給与を全額経費にすることができます。
ただし条件があり以下のようなものがあります

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
  • 年齢が15歳以上であること(その年の12月31日現在)
    ※15歳以上であっても学業に専念する大学生・高校生は、原則として専従者にはなれません。
  • 原則、年間6ヵ月(つまり2日に1日以上)を超えて、青色申告者の事業に専念していること

これについても国税庁のホームページからご覧いただけます。
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/shinkoku/annai/12.htm

PDFはこちらです。
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書(PDF/428KB)

開業届と青色申告承認申請書の提出

開業届と青色申告承認申請書を持って納税地を所轄する税務署長(事務所・事業所を移転する場合で、その移転前の事務所・事業所の所在地を納税地としていたときには、その移転前の事務所・事業所の所在地を所轄する税務署長)へ行きましょう。

持ち物は念のためという意味で以下のものを持っていきましょう。

税務署へ行く時の持ち物リスト

  • 司法書士の会員証
  • 職印
  • 認印
  • 開業届と青色申告承認申請書(必要な方は青色専従者給与に関する届出書も)及びこれらのコピー(コピーについては後述します)

会員証、職印は使うことがないかもしれませんが念のため持っていくものだと思ってください。
認印も使わないかもしれませんが、持って行ったほうが無難です。

いざ、提出

提出の際、原本のコピーも取っておいた方が良いです。
開業届の控えもありますが、原本は提出後は取り戻すことができないからです。
また、コピーのほうに税務署のハンコを押してもらえるので今後何かあった時のために取っておいたほうが良いです(控えにハンコをもらっても良いとは思いますが)。

税務署に「個人事業主の開業届と青色申告承認申請書を持ってきました」というと、書類を確認の上ハンコをポンッと押してもらえます。
控えやコピーにハンコがほしいときはこの時に言いましょう。
この手続きは5分とかかりません。
本当にあっという間にあっさりと終わってしまうため、「こんなので開業できちゃうの?」と不安になるほどです。

不安な確定申告、役立つソフト

開業届や青色申告承認申請書を提出するのはハッキリ申し上げるとハードルはかなり低いです。
上記を参考にして頂ければ半日もあれば時間が余るほどです。

しかし、いざ開業しても「自分で確定申告をしたことがないから不安だ」という方が多いでしょう。
事実、記事作成者の私(福本)もその一人でした。
そこで確定申告の不安を吹き飛ばしてくれるものを紹介します。

青色申告会

青色申告会

個人事業主でないと青色申告会の存在自体知らないかもしれません。
青色申告会は個人事業主の確定申告や会計面をかなり手厚くサポートしてくれます。
入会費や年会費は各青色申告会によって変わりますので、ご自身の事務所の近くの青色申告会を検索してみてください。
恐らく年会費は3~4万円程でしょう。
青色申告会のホームページはこちらです。

自宅から近くの青色申告会が良い場合は、そちらも調べておきましょう。
各青色申告会は住まいや事務所の所在地に関係なく入会できます。

青色申告会が行ってくれるサポートの一例をあげておくと

  • いつでも経理面の相談に乗ってくれる
  • 確定申告の前に実際に会計ソフト(後述)の中身を見てアドバイスをしてくれる
  • 確定申告は青色申告会がしてくれる
  • 人間ドックや健康診断など割引されたものを任意で受けられる

他にも会の旅行などありますが、実務面や健康面で大いに役立つものは上記の4つでしょう。

簿記について全く何も知らないズブの素人でも丁寧にサポートして頂けるため税理士さんに頼む余裕がない場合にはお勧めです。

なお、青色申告会では領収書をまとめて会計ソフトに入力してくれるところまではしてくれません。
しかし、お勧めの会計ソフトを後でご紹介しますのでご参考にして下さい。

なお、確定申告の時期になると地域によっては物凄く混雑しますので早めの確定申告の相談をされることをお勧めします。

税理士に任せる

費用は青色申告会よりかかってしまうかもしれませんが、税理士であれば会計のことは全て任せることも可能です。
また、同じ士業という繋がりもできるためお金では買えない価値が出てくることも事実でしょう。
将来的に法人化することも踏まえるのであれば、最初から税理士に任せることも一考して下さい。

お勧めの会計ソフト(やよい会計)

やよい会計

お勧めのポイント

  • 青色申告会のスタッフで使えない人はほぼいない
  • 操作が簡単
  • 古いバージョンでも青色申告会側は最新バージョンで対応してくれる

青色申告会のスタッフで使えない人はほぼいない

青色申告会に入会すると確定申告等のサポートをしてくれます。
しかし、青色申告会のスタッフ複数名や臨時の税理士の方など多数の方がいらっしゃるため、人によって使い方が分かるソフトと分からないソフトが出てきます。

司法書士でいうとオンラインソフトの「権」が使えるのか「サムポローニア」が使えるのかそれとも両方使えるのかといったところです。
話が逸れましたが得意不得意が無く、なるべく全員が共通して使用できる会計ソフトを使うことが望ましいことはお分かり頂けたと思います。

そして、人にって…というものがない会計ソフトが「やよい会計」です。

やよい会計であれば「扱えないから他のソフトにして」と言われることはまずないでしょう。
それほど会計ソフト業界でのシェアと認知度があります。
そのため私もやよい会計を利用しています。
『せっかく青色申告会まで足を運んだのにソフトを扱えるスタッフがいないため出直しになった』というのは貴重な時間が無駄になるのでやよい会計であれば心配無用です。

操作が簡単

私は会計については全くのド素人ですが、青色申告会でも丁寧に操作方法を教えてくれる上、こちらがお手上げであれば操作をしてくれつつ説明もしてくれます。

私は他のソフトを使用したことがないため使用感を比べることはできませんが、全くの素人の私でも「操作方法・一連の流れ」を青色申告会の方に教えて頂いたため、自分で領収書と睨めっこしながら打ち込むことができるようになりましたし、ソフトの操作自体難しくありませんでした。

古いバージョンでも青色申告会側は最新バージョンで対応してくれる

どれだけ古いバージョンでも対応してもらえるのかは不明ですが、4つほど古いバージョンでも対応して頂けることもあります。
これから購入するのであれば最新バージョンを購入するほうが良いですが、既に持っているのであれば最新バージョンにアップグレードするのは一旦待ちましょう(無料でアップグレードできるのであればした方がお得ですが)。

終わりに

開業というと物凄くハードルが高くあるような気がしますが、実は書類を2枚提出するだけで開業自体は終わりです。
会計についての不安も「困ったらとりあえず青色申告会」ということで良いでしょう。

今回紹介した提出する書類にはいわゆる締め日がありますのでキリ良いタイミングで提出できるように事前に準備しておきましょう。
仕事も開業も準備が大事ですね。