【相続の担当は?】士業の役割まとめ|どの士業に依頼すればいいか答えます

更新日: 2023年11月16日

相続で各士業は何を担当するのか

相続があったときに、専門家を頼りたい方も多いでしょう。

しかし、士業は種類(弁護士、税理士、司法書士、行政書士などなど)が多くて、誰が何をしているのかイメージできません。

結局のところ、「何をどの士業に頼ればいいのか分からない!」と悩むことになります。

そこで、この記事では、各士業が担当する分野をご紹介します。

全員とは限らない

以下は例であり、必ずしも全ての士業が行うとは限りません。実際に相談する際に、専門にできることを伺ってください。

弁護士が相続のときにできること

太字は当該士業の専門性が高い事項です。

  1. 相続人の調査:被相続人の戸籍謄本や遺言書などをもとに、法定相続人や遺言相続人を確定します。相続人の数や身分、連絡先などを調べます。
  2. 相続財産の調査:被相続人の財産と債務を洗い出して、相続財産の総額や相続税の見込み額を算出します。不動産や預貯金、株式、生命保険などの財産と、住宅ローンやカードローン、税金などの債務を調べます。
  3. 遺産分割の代理交渉:相続人同士で話し合って、相続財産の分け方を決めます。遺言書がある場合は、遺言書の内容に従って遺産分割をします。遺産分割協議には、全ての相続人の合意が必要です。合意が得られない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停や遺産分割裁判を申し立てます。弁護士は、依頼者の代理人として、相続人間の交渉や裁判所の手続きを行います。この遺産分割協議の代理人になることは、弁護士しかできません。
  4. 遺留分侵害額請求の対応:遺留分とは、いわば「最低保証相続分」です。遺言書がある場合、遺言書の内容が法定相続人の最低限の相続権である遺留分を侵害している場合があります。遺留分を受け取る権利を持つ相続人は、遺留分侵害額請求権を行使して、遺留分に満たない分の財産を請求することができます。弁護士は、遺留分侵害額請求権の有無や額を判断し、依頼者の代理人として、遺留分侵害額の請求や裁判を行います。
  5. 遺言書の作成:相続人や遺産分割の割合を自由に決めたい場合は、遺言書を作成することができます。遺言書には、公正証書遺言や自筆証書遺言などの種類があります。弁護士は、相続税の観点から遺言書の内容を検討し、遺言書の作成をサポートします。
  6. 遺言執行:遺言書に遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者として遺言書の内容に従って遺産分割を行います。遺言執行者は、遺言書の内容を実行するための権限と義務を持ちます。弁護士は、依頼者が遺言執行者である場合は、遺言執行の手続きを代行します。依頼者が遺言執行者でない場合は、遺言執行者に対して遺言書の内容の実行を求めます。
  7. 相続放棄・承認:相続財産の価値が債務よりも低い場合や、相続人との関係が悪い場合など、相続を受けることに不利益があると判断した場合は、相続放棄をすることができます。相続放棄は、相続発生後3か月以内に行わなければなりません。弁護士は、相続放棄のメリット・デメリットを説明し、依頼者の代理人として、相続放棄の申述書の作成や提出を行います。
  8. 相続税の申告:下記の税理士の業務でご説明します。弁護士でも相続税の申告はできますが、一般的には税理士に依頼すします。

弁護士は、法律家のトップです。基本的になんでもできます。しかし、なんでもできるとはいえ、何かに特化している弁護士が多数です。

そのため、相談する弁護士に何をしてもらえるか尋ねてみましょう。

通常は連携する

相続は複雑な手続きが多岐に渡ることがあります。よって、各士業が連携をとって、お客様の相続手続きを代行することが通常です。分からなければ、弁護士、税理士、司法書士のいずれかに相談すればOKです。

税理士が相続のときにできること

  1. 生前の相続税対策:相続財産の総額や相続税の見込み額を算出し、相続税の節税方法を提案します。贈与や信託などの手段を用いて、相続税の負担を軽減することができます。
  2. 遺言書の作成:相続税の観点から遺言書の内容を検討し、遺言書の作成をサポートします。遺言書によって相続人や遺産分割の割合を自由に決めることができます。
  3. 相続人調査・相続財産調査:相続人の数や身分を確認し、相続財産の種類や価額を調査します。相続人や相続財産が多くても、税理士が詳細に調べてくれます。
  4. 準確定申告:被相続人の死亡年の所得税の申告と納付を代行します。被相続人が給与所得者や年金受給者でない場合や医療費控除がある場合などに必要です。
  5. 遺産分割協議書作成:相続人間で遺産分割の方法や割合について合意した場合、その内容をまとめた遺産分割協議書の作成を行います。相続税の申告で税務署に提出する必要がある場合に限ります。
  6. 相続税申告代行:相続財産の純額が基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人数)を超える場合、相続税の申告が必要です。税理士は相続税の計算から申告書の作成、税務署への提出までを代行します。
  7. 税務調査への対応:相続税の申告後、税務署から税務調査が入る場合があります。税理士は納税者の代理人として税務調査に立ち会い、必要な書類の提出や説明を行います。

司法書士が相続のときにできること

  1. 相続人調査:被相続人の戸籍謄本を収集して、法定相続人を確定します。必要に応じて、法定相続情報一覧図を作成します。
  2. 相続財産調査:被相続人の財産と債務を洗い出して、相続財産の総額算出します。相続方法の選択や相続放棄の申述書の作成も行います。
  3. 遺産分割協議書の作成:相続人間で遺産分割の方法や割合について合意した場合、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、相続税の申告や相続登記に必要な書類です。
  4. 相続登記:相続によって不動産の所有者が変わった場合、法務局で相続登記を行います。相続登記は、不動産の名義変更の手続きです。相続登記の申請書や添付書類の作成や提出を代行します。
  5. 遺言執行者への就任:遺言書に遺言執行者が指定されている場合、遺言執行者として遺言書の内容に従って遺産分割を行います。遺言執行者は、遺言書の内容を実行するための権限と義務を持ちます。
  6. 遺言書の検認申立書類の作成:自筆証書遺言や秘密証書遺言の場合、遺言書の効力を発生させるためには、家庭裁判所に遺言書の検認を申し立てる必要があります。検認申立書や添付書類の作成を行います。
  7. 生前対策:相続税の節税や財産管理のために、家族信託や任意後見契約などの生前対策を行う場合、契約書の作成や不動産登記などの手続きを行います。
  8. 遺言書の作成サポート:遺言書を作成する場合、遺言書の種類や書き方、保管方法などについてアドバイスをします。公正証書遺言や自筆証書遺言の作成のサポートも行います。

行政書士が相続のときにできること

  • 官公庁への書類提出:相続に関連する許認可に関する手続きを行います。たとえば、自動車の名義変更や廃車手続き、国民年金の相続手続きなどがあります。
  • 相続人調査:被相続人の戸籍謄本を収集して、法定相続人を確定します。必要に応じて、法定相続情報一覧図を作成します。
  • 相続財産調査:被相続人の財産と債務を洗い出して、相続財産の総額や相続税の見込み額を算出します。相続方法の選択や相続放棄の申述書の作成も行います。
  • 遺産分割協議書の作成:相続人間で遺産分割の方法や割合について合意した場合、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書は、相続税の申告や相続登記に必要な書類です。
  • 遺言書の作成サポート:遺言書を作成する場合、遺言書の種類や書き方、保管方法などについてアドバイスをします。自筆証書遺言の作成のサポートも行います。

結局、どんな場合にどの士業に頼むか

相続人間で揉めている場合

弁護士に相談してください。

相続人のうち誰かに連絡がつかない場合

弁護士または司法書士に相談してください。

相続税について知りたいとき

税理士に相談してください。

財産をさらに調べてほしいとき

弁護士または司法書士、税理士に相談してください。

不動産の相続について相談をしたいとき

司法書士に相談してください。

遺産分割協議書を作りたいとき

弁護士または司法書士に相談してください。

遺産分割の代理人になってほしいとき

弁護士に相談してください。

とりあえず誰かに相談したいとき

弁護士または司法書士、税理士に相談してください。